ジャパニーズアニメは世界の誇る日本の文化。2022年11月に日本動画協会が発表した日本アニメの関連市場統計では、2021年の日本のアニメ市場は2兆7422億円なのだとか。こんなに儲かっているのに、アニメ制作現場の末端はブラックだって知っていますか?今回は、私が実際に体験した超過酷でブラックすぎるアニメ業界を語ります。
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夢だったアニメーターに!

絵を描くのが好きでアニメファンだった私の夢はアニメーターになること。高校卒業後は専門学校に通い、ついにアニメーターの夢を実現しました。私が就職したのは大手アニメ制作会社の下請けスタジオ。下請けの中では有名で歴史があり、同期は30人ほどいました。

「アニメーターになれた!頑張るぞ!」

好きなことを仕事にできた私は、やる気に満ち溢れていました。

知ってはいたけど過酷すぎる職場

アニメーターの多くは「動画作成」という担当から始まります。動きの元となる「原画」をトレースし、間の絵を描いて実際に動きをつけていく仕事です。下請けの動画アニメーターは1枚120~180円程度が相場。絵が入り込んでいると、1枚に1時間以上かかることも。実は委託のような契約なので、最低時給は関係ありません。新人動画アニメーターの月収相場は3~5万円程度。手が早くても10万円いかないのが普通です。

過酷なのは収入だけではありません。締め切りに追われる毎日。今日渡されて今日締め切りの仕事も多数。ときには徹夜をすることも。アニメ制作現場は末端に行けば行くほど時間がないものです。背後に制作担当が仁王立ちして「お願いします」と懇願されたこともありました。

徹夜がなくても拘束時間がとにかく長く、それでも新人は貯金を切り崩しながら生活をしています。時間もない、お金もない、あるのは「アニメが好き」という気持ちだけ。

次々に辞めていく同期たち

もちろん、アニメーターを志す人の多くは、過酷な職場環境の知識があります。「それでも大好きなアニメに携わりたい!」という高い志でアニメーターになる人ばかり。しかし、実際に経験して耐えられるかは別の話で、同期たちは次々に辞めていきました。「生活が立ち行かない」というのが、一番多い理由です。

辞めていく同期たちは、決して職場に多くを求めていません。生活できる最低限の収入があれば続けたかったという人も。アニメーターを続けていけるのは、新人の極貧時代を耐え抜く貯金や頼れる実家があり、長時間労働に耐えられる体力と気力と志を持った人のみではないでしょうか。

ジャパニーズアニメってなに?

私も1年を過ぎたころにアニメーターをやめました。どんどん減っていく貯金、オシャレしたり友達と遊んだりする時間もなく、ただアニメと向き合うだけの日々。心身疲れ切って、ブラックなアニメ業界から去りたくなったのです。その後は派遣社員として働き、収入は大幅アップ。楽しく明るい職場で仕事をしながら、充実した日々を送りました。

今でもアニメは好きですが「ジャパニーズアニメ」ともてはやされているのを見ると、末端のブラックな職場を思い出して虚しくなります。そんなキラキラな業界じゃないよ。

ftnコラムニスト:ききた

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