出産で頑張った後の入院期間は安らかに過ごしたいもの。でも、個室でもない限り、実際は入院生活ではいろんな人間模様を目にすることになるのです。今回は、マスク生活になる前のまだお見舞いに制限がなかった時代に大部屋入院をしていた私が見た、様々な新米ママのお話です。
画像: ftnews.jp
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誰もお見舞いに来なかったAさん

斜め向かいのベッドにいたAさんは、30代後半くらいの新米ママさんでした。

当時は30代後半になると高齢出産扱いになったこともあり、助産師さんとの会話を耳にすると、出産までの道のりはかなり険しかったようです。それでも無事元気な女の子が産まれたというのに、私が入院している間、誰もお見舞いに来ている気配がありませんでした。

授乳のタイミングで新生児室で一緒になった時に、「お母さんに目元が似てますね♪」と話しかけると、「ありがとうございます、、、夫に全然似てなくて、、、しかも、女の子だったことでお姑さんが呆れていて、、、出産って難しいですね。」と落胆した様子。男の子を産まなかったことで疎まれるなんて、、、そんな時代じゃないでしょ!?と思ったけれど、そんな義母さんも存在するのか、、、と思った授乳時間でした。

実母にメタメタにお説教をくらうBさん

隣のベッドにいたのは、20歳になったばかりの若い新米ママのBさん。すっぴんでもその若さが分かるほど、ちょっとギャルっぽい見た目の女性でした。

昼間にカーテンを閉めて寝ていると、Bさんのお母さんとご主人がお見舞いにやって来ました。最初は楽しそうに会話していたものの、ご主人が院内のコンビニに買い出し行き、母と娘の二人きりになった途端、お説教がスタート!!

「あなた、こんなんで本当に子供を育てていけるの?親になるのよ?そんな中途半端なままで、、、親を舐めんじゃないよ!」と、小声ではあったものの、どれほど怒っているかが隣にいた私にはビシビシと伝わって来るほどの威圧感。Bさんも、特に口答えをすることもなく、グスンと泣き出してしまうほどでした。「こんなことで泣いてるようじゃ、どうしようもないよ!まったく、、、」とお説教は止まらず。

ご主人が戻って来て、お説教が終わるかと思いきや、今度はご主人も交えたお説教タイムがスタートしてしまいました。もう、気になって寝れないしベッドから出たら気まずいし、居た堪れないでいたら助産師さんが登場してくれて、「他の方もいらっしゃいますので、、、」とお説教を止めに入ってくれたのでした。

義母のせいで退院が延期になってしまったCさん

真向かいのベッドにいたCさんの元には、大部屋の中で一番お見舞いの人が来ていました。

凄い時は1日で5組もお見舞いの人が来ていて、その度にCさんはベッドから降りてエレベーターまで見送りをしていたのです。まだ産後間もないのに、そんなに動けるなんて、、、授乳で新生児室に行く時とトイレに立つ時以外は動くのなんて無理〜と思っていた私はCさんを尊敬していました。

しかし、Cさんは私より先に出産したにも関わらず、退院は私の方が早かったのです!私が退院の時に「まだかかりそうなんですか?」と聞くと「義母がお見舞いの人をどんどん連れて来ちゃってたから、産後の出血が止まらなくなっちゃって、、、後3日は入院になっちゃったの。ほんと、全然休めない入院生活だよ・・・。」と、ため息交じりに漏らしていました。あの見送りは無理をしていたのか、、、。

私自身も第一子の出産だったので、我が子のことでいっぱいいっぱいになるかと予想していたのですが、いろんな家庭があるんだなぁと、今でも時々思い出しては忘れられない5日間となりました。

ftnコラムニスト:南さおり

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