地方にある店を大切にし、そこから地域の問題をすくい取り、ユニークな手法で課題を広く紹介している【フリークス ストア】には、地元愛の強いスタッフが数多くいます。そのスタッフの手によって生まれる「シビレイベント」が【フリークス ストア】をお店ごとに個性があるセレクトショップへ進化させています。デイトナ・インターナショナルでPRとブランディングのディレクターを担当している清宮雄樹さんに「シビレイベント」などを始めた理由をうかがいます。

ホヤの風評被害を減らしたい。スタッフの声で誕生したホヤの缶詰

2021年10月にはプロデュースした宮城のホヤ缶詰が発売されました。これもエスパル仙台店のスタッフが声を上げ、生まれた商品です。

クリエイティブスタジオ【YAR】がパッケージデザインを手掛けたホヤ缶

出典:フリークス ストア

「ホヤは風評被害で、毎年1000トン単位で捨てられています。処分するのではなく、日本の名産を伝えるプロジェクトができないか、と仙台のショップスタッフや東北出身の本社スタッフから上がってきた課題です」(清宮さん) 

三陸の珍味のイメージが強く、西日本ではあまりなじみのないホヤ。それをセレクトショップらしく、缶詰のイメージを覆すおしゃれなパッケージで提案しました。

「アーティストを起用した缶詰らしくないビジュアルでファッション界隈からも反響ありましたし、中身は石巻で長年缶詰を作られている木の屋⽯巻⽔産さんにお願いしているので、おいしいと好評でした」(清宮さん)

ホヤ缶の発売を記念し、エスパル仙台店ではPOP UPイベントも行われました

出典:フリークス ストア

エスパル仙台店では缶詰と限定グッズを販売するポップアップを開催し、売上の一部は三陸の水産業の販路開拓とブランディング支援のためへ寄付しました。

店舗スタッフ1人1人の思いを発信する、店ごとに行われる「シビレイベント」

ローカルとコミットメントできる場作りだけでなく、そこで働くスタッフの存在も【フリークス ストア】が地方を盛り上げる意味でも大いに活躍している印象を受けます。

「弊社は地方店のスタッフも全て社員。長野店の店長のように生まれも育ちも長野と、地元密着のスタッフが多いので、会社と自身が働く地域を結びつけたい思いが強いスタッフは多いかもしれませんね。僕は同業他社から転職してきたので、なおのこと地域とコミットできるスタッフの多さを実感しています」(清宮さん)

店長の裁量権が大きいため、本社からのトップダウンではなく、各店の声を反映した店作りを行えるのも強み。その一つがバイイング。セレクトショップはバイヤーが買い付けた商品を全店舗に置くセントラルバイイングが基本ですが、それだと全国どこでも画一的な店になりがち。その店だから遊びに行きたい、という動機を生むため【フリークス ストア】はそれぞれの店独自の企画を発信する「シビレイベント」を立ち上げています。

「店舗主導で地元の作家との取り組みを進めるなど、同じ【フリークス ストア】であっても店ごとの個性を意識しています。2021年だけで全国の店舗で100件も『シビレイベント』を企画しましたから、関わる本社スタッフはもう血眼でしたけど(笑)」

画像: ファッションに限らず、アートや飲食など様々な分野で企画される「シビレイベント」 出典:フリークス ストア

ファッションに限らず、アートや飲食など様々な分野で企画される「シビレイベント」

出典:フリークス ストア

自分たちでイベントが立ち上げられるなんて、ショップスタッフとしてもモチベーションが高まるでしょう。その結果、店ごとの個性も鮮明になっていきます。

「スタッフだけじゃないんです。企画に関わってくれた作家さんが『【フリークス ストア】でおもしろい企画ができて感動した』ってSNSで発信してくれると、その友人のクリエイターも『自分もしたい』と手を挙げてくれ、想像していない広がりを見せています。そういうのって、運営側としても嬉しいです」(清宮さん)

【フリークス ストア】スタッフの熱狂を伝えたいと、創刊したフリーマガジン【FREAK】

「人の熱狂は誰かに伝播し、なにかを変えるパワーを持っている」と清宮さんは話します。熱量の高いスタッフの思いを投影し、わかりやすいメッセージに変換してお客様に届けたいコミュニケーションメディアを作りたいとの思いで誕生したのがフリーマガジン【FREAK】。地方との取り組みにおいても、このマガジンは一役買っています。

画像: 【フリークス ストア】が不定期で刊行しているフリーマガジン【FREAK】 出典:フリークス ストア

【フリークス ストア】が不定期で刊行しているフリーマガジン【FREAK】

出典:フリークス ストア

「長野特集、福岡特集など地方にフォーカスした号もありますが、地方ばかりでなくユース世代に伝えたい社会課題も届けたい思いがあります。紙とWEBで展開していますが、長野のジビエ号は食べ歩きできるマップになっているので、コミュニケーションが生まれやすいですし、WEBは紙数の制限がないので充実した内容を展開させやすい。ただ紙やWEBと媒体にこだわらず、ラジオで【FREAK】を展開したこともあります」(清宮さん)

2022年3月には福岡のFM局であるCROSS FMとコラボレーションしての放送も!

「アミュプラザ博多店のオープンに向けたプロモーションで何をしようか、現地リサーチをしていくと、福岡って東京に次ぐくらいアーティストが充実していておもしろいのがわかったんです。ミュージシャンにも登場してほしいので、じゃあラジオを通じてのライブがいいのでは、と。CROSS FMは聴取率の高いラジオ局で、地元の人が信頼しているメディア。地元に密着したメディアで地元のスターが出演する番組って、その地方の人からすれば全国放送とは違う特別なものって感じもありますよね」(清宮さん)

今後も【フリークス電気】で取り組んだ長野の耕作放棄地での開墾や収穫祭を予定するなど、セレクトショップの枠を超えて、様々な挑戦を予定しています。

「【フリークス ストア】はアメリカンカルチャーをベースにしたショップではありますが、年々世界観は多様になってきていて、商品も取り組みもバリエーション豊かになっています。でも基本であるアメリカの自由の精神性やチャレンジマインドは大事にし続けたいですね」(清宮さん)

画像: スタッフ一人一人が、自分たちで企画し、イベントを盛り上げたい気持ちを持っているからこそ、全員のこの笑顔! 出典:フリークス ストア

スタッフ一人一人が、自分たちで企画し、イベントを盛り上げたい気持ちを持っているからこそ、全員のこの笑顔!

出典:フリークス ストア

【フリークス ストア】が時間をかけてコミュニケーションし、根付かせ、活性化した地域コミュニティ。その素晴らしさにやっと時代が気づいたと見る向きもできますが、それができたのもスタッフ全体が高い熱量で攻める姿勢を持ち続けているからではないでしょうか。

SeniorWriter:津島千佳


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