勝ち負けではなく
先日、今度は「独身のうちは責任がなくていいよね」と笑われた時、私はふと、なぜM美が私を「自由で羨ましい」と言い続けるのかを考えてみました。
そして気付いたのです。
M美にも、私には見えていない悩みや大変さがあるのかもしれない、と。
私は、反発するのではなくあえてM美に寄り添ってみることにしました。
「たしかに独身だと自由な時間は多いけど、誰かに『おかえり』と言ってもらえる家庭があって、家族のために頑張れるM美は素敵だよ」
それまで私は、M美との会話をどこかで張り合うように受け止めていましたが、その気持ちを手放して、素直に「羨ましい」という感情を伝えたのです。
さらに「お互い、自分にないものが羨ましく見えるのかもね」と笑ってみせると、M美は拍子抜けしたような表情をしていました。
認め合う心地よさ
張り詰めていた空気がふっと緩み、M美は気まずそうに「……まあ、どっちも大変だよね」と、それまでとは違う静かな声でつぶやきました。
M美にはM美の苦労があり、私には私の不安がある。
どちらかが優れているわけではなく、それぞれの場所で頑張っているだけのこと。
相手を言い負かそうとするのではなく、まず相手の立場を認めることで、不思議なくらい心が軽くなりました。
今では以前より自然に「お互い頑張ってるよね」と笑い合えるようになっています。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2026年5月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。