今回は、友人Aに聞いた、お弁当作りをめぐる夫婦の話です。
毎朝当たり前のように続けていたお弁当作りでしたが、あるひと言でAは手を止めました。
その後、夫に任せてみると意外な変化があって……。
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止まる手

Aは毎朝、夫のお弁当を作っていました。
卵焼きや前日の残りおかず、野菜などを入れ、足りない部分には冷凍食品を使います。
保冷にもなり、お弁当作りではよくある工夫でした。

「会社の人に、冷食ばっかりやなって言われたわ」
夫が何気なくそう言った瞬間、Aはお弁当箱におかずを詰めていた手を止めました。
仕事の前に早起きをして準備するのは簡単なことではありません。
それでも夫に少しでも喜んでもらえたらと思い、毎日続けていたのです。

積もる思い

夫は悪気なく言ったのでしょう。
けれどAの頭に浮かんだのは、毎朝の慌ただしい時間でした。
寝坊しないよう目覚ましをかけ、冷蔵庫の中身を確認しながら献立を考える。
前日の夕飯も「お弁当に使えるかな」と考えながら作っていました。
彩りが偏らないように気を配り、野菜も入れる。
限られた時間の中で続けてきた工夫はたくさんあります。
それなのに見られていたのは、隙間を埋めるために入れた冷凍食品だけでした。
「そこなんや……」
Aの中で、「そこだけ見られていたのか」という悔しさが大きくなっていったのです。