筆者の知人C子は、単身赴任の夫と週末だけ顔を合わせる生活が20年近く続いています。最初は寂しさもありました。でもいつの間にか、平日の静けさが心地よくなっていました。定年が近づき、夫が「帰ったらあれもしたい」と話すたび、笑顔で相槌を打ちながら心の中では全く別のことを考えています。「来ないで」とは言えない、でも正直に言えば、それに近い——そんな本音を抱えたC子の話です。
別々に暮らすことを家族で決めた日
夫が単身赴任を繰り返すようになったのは、結婚してすぐのことでした。転勤のたびについていくのが当然だと思っていた私も、子どもたちが中学に上がるタイミングで、家族全員で話し合いの場を設けました。
「お母さんはどうしたい?」と聞いてきた夫に、私は正直に答えました。
「子どもたちの学校のこともあるし、ここに残ろうと思う」
夫は少し寂しそうな顔をしましたが、「そうだな」とうなずきました。
子どもたちも、それぞれに自分の意見を言いました。家族会議というほど大げさではありませんが、みんなで出した結論でした。
その日から、夫と私の週末婚が始まりました。
「ちょうどいい距離」に気づいたのは
最初の数年は、寂しさもありました。
平日ひとりで子どもたちの送り迎えをこなし、夫が帰ってくる金曜の夜だけ、少し家が賑やかに。それが週に一度のリズムになりました。
気づけば、平日の静けさが心地よくなっていました。
自分のペースで家事をして、見たいテレビを好きな時間に見て、子ども達が外食してくると言えば、友人と夕食に出かけることもあります。
「おかえり」と言う相手が週に一度だからこそ、その言葉に気持ちが込められる気がしました。
四六時中一緒にいたら、果たして同じように言えるだろうか——そんなことを、ふと考えるようになったのはいつ頃だったでしょう。
定年が近づくにつれ、夫の話題が変わってきた
末の子が独立し、家には私ひとりになりました。
それでも生活のリズムは変わりませんでした。
むしろ、自分だけの時間が増えて、気楽さが増したくらいです。