「安定した職に就きなさい」と夢を追うことに反対され、家を飛び出した娘。
長年分かり合えなかった父が定年後に明かした“本音”に、張り詰めていた気持ちが揺らいでいくことに──。
今回は筆者の知人から聞いた、切なくも温かい親子関係にまつわるエピソードをご紹介します。
長年分かり合えなかった父が定年後に明かした“本音”に、張り詰めていた気持ちが揺らいでいくことに──。
今回は筆者の知人から聞いた、切なくも温かい親子関係にまつわるエピソードをご紹介します。
父の想い
「本当は俺も若い頃、自分の店を持っていたことがあった」
初耳だったので驚いて詳しく聞くと、父は祖父に猛反対されたものの夢をかなえるために無理やり開業したそう。
でも経営がうまくいかず、数年で閉店になってしまったとのことでした。
「だからお前には苦労してほしくなかった」
「失敗するかどうかなんて分からないのに決めつけて悪かった」
そう謝罪して苦笑いした父の顔は、どこか寂しそうだったことを覚えています。
そのとき私は初めて気づいたのです。父は私の夢を否定したかったのではなく、“自分と同じ後悔をしてほしくなかった”だけだったのだと。
不器用な愛情
もちろん、親の価値観で子どもに何かアドバイスすることが常に正しいわけではありません。
でも、頭ごなしの反対の裏にもその人なりの人生経験があるのです。
今では、父とも仕事の話をするように。親の“口うるささ”は、案外“失敗してほしくない”という不器用な愛情なのかもしれないと感じた出来事でした。
【体験者:30代・女性自営業、回答時期:2026年5月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:一瀬あい
元作家志望の専業ライター。小説を志した際に行った女性への取材と執筆活動に魅せられ、現在は女性の人生訓に繋がる記事執筆を専門にする。特に女同士の友情やトラブル、嫁姑問題に関心があり、そのジャンルを中心にFTNでヒアリングと執筆を行う。