友人Mの話です。市主催の合唱団に入ったMが感じた、合唱団の中心的家族へのふとした違和感。その家族関係の裏に隠されていたある事情とは──その事実を知った時、その人達を見る目が変わりました。
理想の家族に見えた音楽家一家
友人Mが住む市には、市が主催する合唱団がありました。
その市の一部の地域で名の知れた「G夫婦」は、合唱団の中心的な存在です。
G氏は指導者として広く認められた人物であり、G氏の妻のIさんはイベントの裏方を献身的に支えていました。
G氏の母や妹もその合唱団に関わっており、家族ぐるみで地域文化を育てるその姿は微笑ましく、まさに理想の家族に見えました。
Mもその様な温かな輪に加わりたいと思い、合唱団の門を叩きました。
独特の緊張感
しかし、実際に足を踏み入れてみると、独特の緊張感がある事にMは気づきます。
G氏の家族内の結束は強く、初参加者のMにとってはその輪の中に入り難いと感じる空気が漂っていました。
とりわけG氏の妻のIさんの存在感は際立っていて、夫であるG氏に他の人間を近づけまいとする様子すら感じます。
何となくIさんの態度への違和感がぬぐえず、Mは仲良くなった団員にG氏家族の事情をそっと聞いてみる事にしました。