S子からのランチや飲みの誘いを「ごめん、今抱えてる案件が忙しくて」と嘘をついて断り続け、社内ですれ違いそうになると、わざわざ遠回りをして別の階段を使うことも……。
気づけば、S子は私に声をかけなくなっていました。
こうして私は、一番の理解者だった大切な人を、くだらないプライドのせいで失ったのです。
失ってから気づいたこと
思い返せば、あの頃の私は、自分のことでいっぱいいっぱいだったのだと思います。
思い通りにいかないキャリアへの焦りを、S子に八つ当たりしていただけだったのです。
過去に戻れるなら、オフィスで不機嫌にそっぽを向いている自分の頭を叩き、「彼女がどれだけ努力していたか、一番近くで見ていたのはあなたでしょ」と叱ってやりたい。
あんなことで距離を置くなんて、本当にもったいなかったと思います。
遠回りして気づいたこと
誰かを羨んで立ち止まる暇があるなら、自分の足元を見つめ、今できる努力を重ねる方がずっといい。
あれから10年以上の時を経て、今は、周囲の頑張りを見ると「私ももう少し頑張ろう」と自然に思えるようになりました。
人を羨む気持ちがゼロになったわけではありません。
でも、その感情を誰かにぶつけるより、自分を前に進める力に変えられる大人でいたいと思っています。
【体験者:40代・女性会社員、回答時期:2026年5月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。