急ぎ足で去って行く人が多い立ち食いそば店で、他の人とは一味違うお客さんを目撃しました。筆者の知人が体験したエピソードをご紹介します。

立ち食いそば屋で働く

私は50代のパートで働く主婦です。
パート先は駅の中にある立ち食いそば屋。お客さんは子どもからお年寄りまで、色んな年代の方がいらっしゃいます。

「立ち食いそば屋」という店柄から、店はいつも慌ただしい雰囲気。

電車到着の合間に訪れる方が多く、急いで食べていく方はもちろん、中には「もう間に合わないから、いらない」と言って食事途中に飛び出しいて行く方や、自分が使った台の周りを汚したまま去って行く方など、色んなお客さんがいました。

ただ、そんなことは日常茶飯事。
働き始めた当初は「もったいないな」や「もう少し気遣いがあってもいいのに」と思っていましたが、いつの間にかそんな状態には慣れてしまっていたのです。

“品”があるお客さん

ある日のこと、いつものようにお客さんがのれんをくぐって入店してきました。
その方は40代くらいのスーツ姿の男性。
「いらっしゃいませ」と私が声をかけると、会釈を返してくれます。

注文の天ぷらそばを提供すると、その男性は私の目を見て「ありがとうございます」とにっこり。

そして男性は、おもむろに両手を合わせて目を閉じました。
「いただきます」と言って、軽く頭を下げたのです。

その所作に私は思わず感動。なんだか動きのひとつひとつが、とても美しいものとして目に映りました。