病院で働く看護師は、患者さんの対応だけでなく、記録や確認作業など“見えない仕事”にも追われています。しかし、その忙しさは周囲から見えづらく、時には心ない言葉を向けられることもあります。今回は、急性期病棟で働いていた知人の看護師I美さんが、患者家族の一言に傷つきながらも、思わぬ形で救われた出来事をご紹介します。
新人看護師だった知人を追い詰めた毎日
I美さんが働いていたのは、院内でも特に忙しいと言われる急性期病棟でした。
新人だったI美さんは、自分の受け持ち患者さんだけでなく、他の看護師が対応しないナースコールまで任されることも多く、毎日病棟を動き回っていたそうです。
急変対応、点滴確認、記録整理、医師への報告。
ようやく座れたと思っても、それは休憩ではなく記録業務の時間でした。
しかし、周囲にはその忙しさが見えていなかったのです。
「座ってるだけやん」患者家族の一言
ある日、I美さんがナースステーションの中で数分だけ座って記録を書いていた時のこと。
面会に来ていたOさんという患者さんの娘さんが、ニヤニヤとしながら廊下から近寄ってきて嫌味っぽくこう言いました。
「看護師さんって、結構暇そうやね」
「座ってるだけで給料もらえてええなぁ」
突然の言葉に、I美さんは言葉を失ったそうです。
さらに、その場にいたベテラン看護師まで笑いながら、
「この子、新人やから要領悪いんですよ」
と話に乗ってきました。
本当は朝から休む間もなく動き続けていました。
それでも反論する余裕もなく、I美さんは悔しさを飲み込むしかなかったといいます。