しかし、娘を一人で育てていけるのかと思い悩むうち、夫に不倫の証拠を消されてしまいます。
慰謝料すらとれないのではと絶望していたそのとき、彼女を救ってくれたのは──。
夫の不倫が発覚
夫の不倫を知った日のことは、今でも鮮明に覚えています。
リビングでのんびりしていると、入浴中の夫が置きっぱなしにしていたスマホが鳴りました。
何気なく視線を向けると、あるポップアップ通知が目に入ったのです。
「えっ──?」
思わず目を疑います。
そこに表示されていたのは、女性の名前と「早く会いたい♡」というメッセージ。
明らかに普通の関係ではないように思えます。
突然のことに頭が混乱し、私はうずくまってしまいました。
「どうした、体調でも悪い?」
振り返ると、お風呂あがりの夫が心配そうにこちらを見ながら立っていました。
私は、偶然スマホの画面が見えてしまったことを夫に話し、その女性とのメッセージのやりとりを見せてほしいと求めました。
もちろん夫は嫌がりましたが、最終的には折れ、大人しくスマホを渡してきました。
「──やっぱり、見間違いじゃなかったんだ」
覚悟はしていましたが、その内容は、とてもショックなものでした。
一番傷ついたのは、夫が浮気相手と一緒になって私の悪口を言っていたこと。
「すっかり太ったあいつに、もう色気は感じない」
「結婚相手、間違えたよ。あいつとは別れるから、早く一緒になろうな」
長年連れ添った夫に、こんな風に馬鹿にされていたなんて。
この人の子どもを産み、ずっと支えてきたつもりだったのに。
私は、完全に心が折れてしまいました。
「もう、あなたとはやっていけない」
離婚への不安
離婚を決意したものの、心配なことはたくさんありました。
第一に、高校生の娘のこと。
娘には絶対に苦労をかけたくありません。
女として馬鹿にされたのは、悔しくてたまらない。
でも、この先本当に一人でやっていけるのだろうか。
娘のためを思うのなら、今回のことは飲み込んで、夫との関係を再構築したほうがいいのかもしれない──。
考えれば考えるほど不安になり、どうしていいのかわからなくなってしまうのでした。
消されてしまった証拠
さらに最悪なことに、冷戦状態が続く中で、夫がこう言ってきたのです。
「離婚するのはいいけど、慰謝料は1円も払えないから」
彼は何を言っているのでしょう。
「どういうつもり? あなたの浮気が原因なのよ」
思わず、カッとなります。
「そんな証拠、あるの?」
「えっ──」
しらばっくれる夫を前に、私は頭が真っ白になりました。
そう、彼は、浮気相手とのやり取りをすべて消してしまったのでした。
よく考えてみれば、私が知っているのは女性の下の名前だけで、どこのだれかもわからないのです。
どうして、あのときちゃんと証拠を控えておかなかったんだろう。
これから一人で娘を育てていかなければならないというのに。
「私は、母親失格だ……」
後悔と自己嫌悪で胸が押し潰され、目の前が真っ暗になりました。