さらに翌日、その女性は高齢男性を転倒させる騒ぎを起こし──。
ストレスが溜まりやすい満員電車では、人の本性や、余裕のなさが見えやすいのかもしれません。
翌朝、再び繰り返されたトラブル
しかし翌朝、同じ路線で再びその女性の姿を見かけました。
「嫌だわ。明日から1本早いダイヤにしようかしら」なんて思いながら見ていると、ちょうどその女性の近くの席が空いたようです。
さっそく、彼女は昨日のように周りの人たちを押しのけて、席へと猛ダッシュします。
その瞬間──。
「あ! 危ない!」
彼女が突進した拍子に、近くにいた高齢男性がバランスを崩し、転倒したのです。
車内が一気に騒然となりました。
「おじいさん、大丈夫ですか!?」
「まったく、危ないなあ」
みんなの目には、あの女性への嫌悪感があからさまに浮かんでいます。
そのとき、近くにいたサラリーマン男性が、女性にきっぱりと言いました。
「危ないでしょう。席の取り合いで人を突き飛ばすなんて、普通じゃないですよ」
周囲の乗客たちの視線は、静かに、しかし明確に、その原因を作った女性へと向けられました。
女性はみるみる気まずそうな表情になり、居心地が悪そうに視線を泳がせ、次の駅に到着すると、逃げるように電車を降りていきました。
内なる攻撃性
満員電車は、ただでさえストレスの溜まる空間です。
みんなが疲れ切っていて、「どうにか座りたい」と思うのは当たり前。
でも、人を押しのけたり、危険な思いをさせてまで、自分だけが得をしようとするのは間違っていますよね。
あの日以来、その女性を見かけることはなくなりましたが、満員電車に揺られていると、よく彼女のことを思い出します。
彼女ほどではなくとも、みんながみんなイライラしていて、どこか攻撃的な態度。
ストレスフルで、知っている人は誰もいない、あのような空間では、いつもと違った側面が出てきやすいのでしょう。
もしかしたら、あの女性だって、会社ではとても素敵な人なのかもしれません。
ストレスを感じると、つい余裕をなくしてしまいがち。
人を思いやる気持ちを忘れないよう、日々の生活になるべくゆとりを持っていきたいですね。
【体験者:30代女性・会社員、回答時期:2026年5月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:大城サラ
イベント・集客・運営コンサル、ライター事業のフリーランスとして活動後、事業会社を設立。現在も会社経営者兼ライターとして活動中。事業を起こし、経営に取り組む経験から女性リーダーの悩みに寄り添ったり、恋愛や結婚に悩める多くの女性の相談に乗ってきたため、読者が前向きになれるような記事を届けることがモットー。