筆者の話です。
母に料理を作るたび、昔は細かく味を指摘されていました。
それなのに、年を重ねた母がかけてきた言葉に、私は戸惑ってしまったのです。
母に料理を作るたび、昔は細かく味を指摘されていました。
それなのに、年を重ねた母がかけてきた言葉に、私は戸惑ってしまったのです。
遠ざかる台所
「味が薄い」「炒めすぎ」
実家で料理を作るたび、母からそう言われていました。
母は料理が得意で、手際もよく、味つけにもこだわりがある人でした。
最初は教えてくれているのだと思っていました。
けれど、何度も続くうちに、実家の台所に立つこと自体が嫌になっていったのです。
自分なりに頑張って作っても、先に返ってくるのは改善点ばかり。
いつしか「自分は料理ができない人間なんだ」と思うようになり、実家では自然と料理を避けるようになっていました。
変わる立場
両親が年を重ねてからは、帰省した際に私が食事を作ることが増えていきました。
「なんでもいいよ。作ってくれるだけでありがたい」
母はそう言ってくれます。
以前のように細かく口を出すこともなくなり、作った料理を静かに食べるようになっていました。
けれど、台所に立つたび、昔の言葉が頭をよぎります。
優しい言葉をかけられても「今はそう言うけれど、あの頃は違った」という気持ちが消えませんでした。