これは友人A子から聞いた話です。A子は「頼まれたら断れない性格」で周囲の依頼を引き受け続けていました。次第に負担は増え、心身ともに限界に。勇気を出して線引きをした結果……? A子はどうやって自分の時間と心の余白を取り戻していったのでしょうか。

“知ってるよね?”と思った瞬間

ある日、A子は朝から体調が悪く、会社でも何度か「今日は少し熱っぽくて……」と周囲に伝えていました。
顔色も悪く、上司からは「大丈夫?」と声をかけられるほど。
その日は最低限の仕事だけ終わらせ、早めに帰宅しようとしていました。
すると帰り際、同僚が声をかけてきます。
「体調悪いの分かってるんだけどさ、これだけ間に合わなさそうだから今日中にお願いできる?」
その瞬間、A子の中で何かが静かに崩れました。
誰かが悪いわけではない。
でも、このままでは自分が持たない。
その夜、初めて「この関係はおかしいかもしれない」と真正面から考えるようになりました。

線を引いたあとに残ったもの

そして、その翌日、A子は初めてはっきりと断りました。
「今は自分の業務で手一杯なので、対応できません」
言葉にするのは怖かったそうですが、もう曖昧に笑うことはやめました。
最初は驚かれましたが、想像していたような“拒絶”は起きませんでした。
むしろ後から「最初からそう言ってくれればよかった」と言われることもありました。
そこでA子は気づきます。
壊れる関係は、最初から無理を前提に成り立っていたものだったのだと。
今では必要以上に抱え込むことはなくなり、「頼まれたら全部やる人」ではなく、「できることを選ぶ人」として働けるようになりました。
そして何より、あのとき線を引いたことで、いちばんラクになったのは“相手”ではなく“自分”だったと実感しているそうです。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2026年5月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:池田みのり
SNS運用代行の職を通じて、常にユーザー目線で物事を考える傍ら、子育て世代に役立つ情報の少なさを痛感。育児と仕事に奮闘するママたちに参考になる情報を発信すべく、自らの経験で得たリアルな悲喜こもごもを伝えたいとライター業をスタート。