これは、私の友人・A子から聞いた話。表面だけを見て人を判断することの恐ろしさを、身をもって知ることになった出来事でした。

まさかの『正体』

上司に詳しく聞くと、驚きの事実が明らかになりました。
Bさんは前職で10年以上、クレーム対応部門の責任者を務めていたというのです。
どんなに感情的な相手でも決して声を荒げず、相手の言葉をじっくり聞いてから的確に対応する——その姿に取引先の担当者が感激し、後日わざわざお礼の電話をしてきたそうです。

採用の決め手も、まさにその対応力でした。
「事務作業は慣れれば誰でもできる。でも、あの対人スキルは簡単には身につかない」と上司は言いました。

その言葉を聞いた瞬間、休憩室での会話が頭をよぎりました。
「なんであんな人採ったんだろうね」——都合がいいのはわかっている。でも、あの言葉を、取り消せるものなら取り消したかった。

「よくあることなので」という一言

勇気を出してBさんに声をかけ、「失礼な見方をしていました、すみません」と頭を下げた私。
するとBさんは困ったように笑って、こう言いました。

「気にしてませんよ、よくあることなので」

その一言が、胸に深く刺さりました。
「よくあること」と笑って流せる人を、私は笑っていたのです。

見えている部分だけで人を判断することの恐ろしさを、あの日ほど痛感したことはない——私の考え方を一新した出来事でした。

【体験者:30代・女性・会社員、回答時期:2026年3月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:K.Matsubara
15年間、保育士として200組以上の親子と向き合ってきた経験を持つ専業主婦ライター。日々の連絡帳やお便りを通して培った、情景が浮かぶ文章を得意としている。
子育てや保育の現場で見てきたリアルな声、そして自身や友人知人の経験をもとに、同じように悩んだり感じたりする人々に寄り添う記事を執筆中。ママ友との関係や日々の暮らしに関するテーマも得意。読者に共感と小さなヒントを届けられるよう、心を込めて言葉を紡いでいる。