これは、私の友人・A子から聞いた話。表面だけを見て人を判断することの恐ろしさを、身をもって知ることになった出来事でした。
最初の印象は──
私が勤める会社に、40代の中途採用社員・Bさんが入ってきたのは、秋も深まった頃のことでした。
第一印象は、悪くはありませんでした。物腰が柔らかく、挨拶もきちんとしている。でも仕事が始まると、少しずつ雲行きが怪しくなっていきました。
マニュアルを何度読んでも同じところでつまずく。
簡単な入力作業でミスを繰り返す。
「〇〇ってどこに入力するんでしたっけ」と何度も聞いてくる。
A子は内心、「この人、大丈夫かな」と思い始めていました。
休憩室での、最低な会話
決定的だったのは、入社から2週間ほど経った頃のことです。
Bさんが外回りに出ているお昼休み、休憩室で同僚のCさんがため息交じりに言いました。
「また昨日もBさんがやらかしたんだけど、信じられない」
A子もつい苦笑いしながらうなずきました。
「ほんとにね。なんであんな人採ったんだろうね」と周囲の困惑した雰囲気に流されるように同調してしまったのです。その場にいた数人が声を落として笑い合いました。
今思えば、最低な光景でした。
でもそのときの私には、その自覚が全くなかったのです。
「Bさんの動きを全員で見習うように」
そんなある日、Bさんが取引先への同行を任されました。
長期にわたるクレームを抱えた難しい相手で、社内では「誰が行くか」と誰もが顔を見合わせていたほどの案件でした。
翌日、上司から全体にメールが届きました。
「昨日の取引先対応について、Bさんの動きを全員で見習うように」
私は自分の目を疑いました。あのBさんが? と。