筆者の実体験です。小学校の親子レクのたびに「恥ずかしいから来ないで」と言い続けた息子。その言葉を素直に受け取っていた私が、ある日ほかの保護者との会話で知った本当の理由。それは、小さな体いっぱいの、不器用な優しさでした。
何気ない会話で知った、真実
そんなある日、他の保護者との何気ない会話で、知ってしまったのです。
「親が来ていない子なんて、ほとんどいないよ」
驚きました。
あれほど「みんな来ていない」と言っていた息子の言葉と、あまりにも違っていて。
胸がざわついたまま、帰宅後、私は息子に聞いてみました。
本当の理由
私が仕事を休めないことを、息子はずっと気にしていたのです。
「お母さんに無理させたくない」
そう思った彼が選んだ言葉が、「恥ずかしいから来ないで」だったのです。
親子レクの日、ほぼ全員の親が来ているなかで、息子はひとりで参加していた。肩身の狭い思いをしながら、でも私には何も言わずに。
その場面を想像すると、胸が締めつけられました。痛くて、でも愛おしくて、泣きそうになりました。
「今度は行ってもいい?」
その日の夜、今度は私から聞きました。
「ねえ、次のレク行ってもいい?」
息子は少し驚いたあと、「うん」と小さくうなずきました。
次の親子レク当日、私は仕事のスケジュールを調整して、学校へ向かいました。体育館に入ると、息子がこちらを見つけて、照れくさそうに、そしてちょっと嬉しそうに、小さく手を振ってくれました。
「来てくれたの、うれしかった」
帰り道、ぽつりとそう言った息子の横顔を、きっとずっと忘れないと思います。
【体験者:40代・筆者、回答時期:2026年5月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:森奈津子
海外生活や離婚、社会人での大学再入学など、多彩な経歴を持つライター。現在は幼稚園教諭として保護者の悩みに寄り添うほか、日々の人付き合いの中から生まれるリアルな本音に耳を傾け、多様な価値観に触れてきた独自の視点でそれらを記事にしている。