「今やる?」一気に冷めた空気
穏やかな時間が流れていた、そのとき──。
隣の空いていた席に、店員が靴を脱いで椅子の上に立ち上がったのです。
(え? なんで?)
なんと、次の瞬間、天井のエアコンフィルターを掃除し始めたではありませんか……!
(は!? 今それやるの?)
思わず母と目を合わせます。
周りには食事をしているお客さんがいるのに、そのタイミングで掃除を始めたことに驚きと戸惑いが隠せません。ホコリが舞うのではないかと気になり、思わず身構えてしまいました。
さっきまでの楽しい気持ちが、スッと引いていくのを感じました。
何も言えなかった自分に残ったモヤ
掃除はすぐに終わり、その店員は何も言わずに戻っていきました。
母も驚いた様子で、さきほどまでの空気とは違う静けさが残ります。
本当は「お時間を変えていただけませんか?」と伝えたかったのに、その場では言葉が出ませんでした。
(言えばよかった……)
食事を続けながらも、その考えが頭から離れませんでした。
最後にかけられた一言で、少し変わった気持ち
「先ほどは、ご迷惑をおかけしました」
お会計の際、別の店員から言われたその一言で、気持ちが少しやわらぎます。
帰り道、母は「若い人のお店は、刺激があっていいわ」と笑いながら言いました。
その言葉を聞いた瞬間に「完璧に整った時間」を、求めなくてもいいのかもしれないと感じました。
確かに店員さんのタイミングは少し配慮不足だったかもしれません。でも、だからといって、母のために心を込めてお店を選んだ私の想いや、私との時間を「楽しい」と言ってくれた母の優しい気持ちまでが、すべて台無しになったわけでは決してないのです。
予想外の出来事も含めて、その日の思い出として残っていくのだと気づいた出来事です。
【体験者:40代・筆者、回答時期:2026年4月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※本記事内の画像は、AI生成によるイメージです。実在の人物・製品・ブランドとは関係ありません。
FTNコラムニスト:大空琉菜
受付職を経て、出産を機に「子どもをそばで見守りながら働ける仕事」を模索しライターに転身。 暮らしや思考の整理に関するKindle書籍を4冊出版し、Amazon新着ランキング累計21部門で1位に輝く実績を持つ。 取材や自身の経験をもとに、読者に「自分にもできそう」と前向きになれる記事を執筆。 得意分野は、片づけ、ライフスタイル、子育て、メンタルケアなど。Xでも情報発信中。