限界を迎えた瞬間
ある日、孫の世話を終えて帰ろうと立った瞬間、目の前がぐらりと揺れました。
立ちくらみでそのまま動けなくなってしまったのです。
心配して駆け寄った娘に「大丈夫?」と声をかけられた瞬間、糸が切れたように涙が溢れて止まらなくなりました。
「ごめんね、もう無理、ちょっと休ませてほしい……」
ずっと物分かりの良い母親を演じてきましたが、取り繕うことができないほど、心も体もボロボロだったのです。
「良い祖母」である前に
娘は言葉を失い、ショックを受けていたようです。
余裕のなさから頼りすぎていたことや、私の限界に気づいていなかったことを心から謝罪してくれました。
それから私たちは話し合い、娘夫婦は子育てと両立できるようそれぞれの仕事を調整することに。
私は週に1度、数時間だけ孫に会うというルールを決めました。
孫と娘を思うあまり、気づけば自分の健康や時間を削ってまで尽くしてしまっていました。でも、この経験を通じて、自分が心身ともに健やかで、心から「会いたい」と思える距離を保つことの大切さが身に染みたのです。この距離感こそが孫にとっても娘にとっても、そして何より私自身にとっても幸せな選択なのだと、ようやく思えるようになりました。
【体験者:60代・女性主婦、回答時期:2026年4月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。