人生の節目に立ったとき、「あのとき別の選択をしていたら」と考えてしまうことは誰にでもあるでしょう。特に、長く誰かのために走り続けてきた人ほど、ふと立ち止まった瞬間に空白を感じることも。今回は、筆者の知人の体験談をお届けします。

新しい居場所

そんな私の世界を変えたのは、家事の合間に長年、細々と続けていた手芸でした。

あるとき、手縫いで作ったポーチや小物を娘の勧めで何気なくSNSに載せてみました。
すると、驚くことに全国の見知らぬ方々から「色使いが素敵!」「どこで売っているのですか?」という声が届きはじめたのです。

娘に助けてもらいながら恐る恐る始めたネット販売で、初めてお客様から「大切に使います」というメッセージをいただいた時、パート時代には味わえなかった喜びで胸がいっぱいになりました。

私の技術や感性を必要としてくれる人がいる――そう思えた瞬間でした。

人生の後半戦は、自分のために

「自分には何もない」と決めつけていたのは、自分自身でした。

会社や組織という大きな盾がなくても、長いあいだ日常の中で培ってきた経験や「好き」という純粋な気持ちは、いつか必ず新しい世界との接点になります。

「自分のことが何もできなかった」と後悔を抱えているのは、それだけ誰かのために必死に生きてきたから。恥じる必要はありません。

人生の後半戦。
ここからは、誰かのためだけでなく、自分の可能性を広げる時間にしたいと思っています。

【体験者:60代・女性主婦、回答時期:2026年4月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。