誰にでも、むやみに人に触れられたくない部分があります。他人には些細に見えても、本人にとっては大切な場所や物であることも。どんな間柄でも、その思いはきちんと尊重したいものですね。今回は、筆者の友人の体験談をお届けします。

愛すべき「私の城」

私にとって自宅の台所は、誰にも邪魔されない自分だけの「聖域」でした。

亡き母から譲り受け、手入れをしながら30年使い続けてきた木製の棚。
均一に火が通る、年季の入った銅の鍋。
手に馴染むよう研ぎ続けてきたプロ仕様の包丁。

それらが決まった場所に並ぶだけで気持ちが整い、「今日は家族のために何を作ろうか」と力が湧いてきたものです。

「サプライズ」という名の自己満足

その私の聖域に、先日とんでもない悲劇が起こりました。

私が一週間ほどの旅行から帰宅した日のことです。
留守を預かってくれていた息子の妻・A子さんが、笑顔で言いました。

「お義母さん、驚かないでくださいね! 留守中に私が今どきのオシャレで便利なキッチンにDIYしておきました! 古臭かった台所も今っぽくなりましたよ」