まさかの再会
「本日、担当させていただきます鈴木(仮名)です」
笑顔で挨拶し、先方の席に目を向けた瞬間、空気が凍りました。
目の前で真っ青になり、唖然としている男性……間違いありません。
数時間前、駐車場で私に「下手くそ」と罵声を浴びせたあの人でした。
彼は私と目が合った瞬間、椅子から立ち上がりかけるほど動揺している様子でした。
さっきとは別人のように顔色を変え、視線を泳がせています。
私はあえて初対面のように振る舞い、凛とした態度でプレゼンを促しました。
彼は終始しどろもどろでしたが、私は一切の私情を挟まず、完璧に質疑応答をこなしました。
品格ある「余裕の一言」
打ち合わせが終わった後、男性は小さくなって「先ほどは、その、大変失礼なことを……」と謝罪してきました。
私は「お気になさらないでください。ただ、仕事も運転も、心の余裕を持つことが何より大切ですよね。次にお会いする時は、もう少し落ち着いてお話しできれば嬉しいです」とだけ伝えましたが、それで十分だったようです。
男性はさらに縮こまりました。
結果的に商談は、こちらに有利な条件でまとまりました。
あの時に飲み込んだ言葉が、思いがけない形で返ってきたような出来事でした。
【体験者:40代・女性会社員、回答時期:2026年2月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。