義母に見せたのは……
私はその場では「お気遣いありがとうございます。検討しますね」とだけ伝え、後日、一冊の「ダミー家計簿」を作成しました。
そこには、住宅ローンの繰り上げ返済計画や子供の将来の学費などが、あえて現実よりも厳しく見えるように記してありました。
そして次に会ったとき、私は深刻な顔で義母にその家計簿を差し出したのです。
「お義母さん、実は今のままだと毎月大赤字なんです……。管理してくださるなら、足りない分の月5万円、お義母さんから援助していただけませんか? 経理に詳しいお義母さんなら、どうにかできますよね?」
家族でも踏み込ませない勇気
本当に義母が経理に詳しければ、その家計簿の内容が不自然だということに、すぐ気付くことができたでしょう。
しかし、義母の顔は目に見えて引きつり、完全に私の言葉を信じているようでした。
「援助」という言葉が出た瞬間、あんなに熱心だった管理の申し出はどこへやら。
「……あ、あら。うちはうちで手一杯だから」
と、逃げるように話題を逸らして帰ってしまったのです。
それ以降、義母がお金の話をしてくることはなくなりました。
これまで波風を立てたくなくて我慢してきましたが、踏み込ませないためには、こちらの線引きをきちんと示すことも必要なのだと感じた出来事でした。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2026年4月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。