母が、娘のために作ってくれた手作りスカート。大切に穿かせていたある日、思いがけない出来事がありました。そのことを伝えたとき、返ってきた一言に思わず戸惑って──。今回は筆者が、母の思いに触れたエピソードです。

意外な一言

恐る恐る、破れたスカートを母に見せに行きました。
しかし、母から返ってきたのは思いがけない言葉でした。

「こんなになるまで着てくれたの? うれしいわ!」

そう言って、慣れた手つきであっさりと縫い直してくれたのです。さらに「またいつでも作るし、困ったら言ってね」と笑う母。

その様子に、ふっと気持ちが軽くなりました。

「大切にする」の意味が少し変わった

私にとっての「大切にする」は「壊さないこと」でした。けれど、母にとっては、「きれいに着る」よりも、「たくさん着てもらうこと」の方が嬉しかったようです。

ボロボロになったスカートは、娘と母、そして私が共に過ごした時間の証。 それ以来、贈り物を受け取る時の私の心構えも、少しだけ軽やかで前向きなものに変わりました。

その後、ボタンが取れたときなどに「ばあばに見てもらおう」と言う娘に、「ママでもできるよ」と返すこともあります。けれど「ばあばがいい」と言われてしまうことも。

少しだけ複雑な気持ちになりながらも、頼れる人がそばにいることのありがたさを、あらためて感じた出来事でした。

【体験者:40代・筆者、回答時期:2026年4月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:大空琉菜
受付職を経て、出産を機に「子どもをそばで見守りながら働ける仕事」を模索しライターに転身。 暮らしや思考の整理に関するKindle書籍を4冊出版し、Amazon新着ランキング累計21部門で1位に輝く実績を持つ。 取材や自身の経験をもとに、読者に「自分にもできそう」と前向きになれる記事を執筆。 得意分野は、片づけ、ライフスタイル、子育て、メンタルケアなど。Xでも情報発信中。