少年団サッカーの練習が始まる前、子どもの小さな成長を喜ぶ穏やかな時間が、ある父親の大声によって一変しました。私の友人A子が目撃したのは、子ども同士ではなく親同士の価値観の違いが浮き彫りになった、忘れられない出来事でした。

突然響いた大声と空気の変化

少年団サッカーの全体練習が始まる前、小学2年生の息子が初めてリフティング10回に成功! 満面の笑みで私のもとへ走ってきました。「できたよ!」と息を弾ませる姿に、私も思わず一緒に喜んでいました。ところがその瞬間、近くにいた最近入団した1年生の父親が急に大声で「100回できるっしょ! ほらやりな、見せてみ?」と自分の子どもに叫び、穏やかな空気が一気に張り詰めました。

追い込まれる1年生の姿

その父親は腕を組み、周囲を見渡しながら「練習してるんだから100くらい余裕っしょ」「この前できたじゃん」と何度も言い続けていました。言われた1年生の子は最初こそ笑顔で挑戦していたものの、ボールを落とすたびに焦った表情になっていき、何度も拾い直しては無言で挑戦……。まだ体も小さく、集中を保つのも難しい年齢です。それでも父親は「今ので何回? もう一回」と声を強め、子どもの動きは次第に固くなっていきました。お父さんの期待に応えようと必死に足を動かす姿に、見守るこちらの胸も少し痛むものがありました。

周囲が感じた居心地の悪さ

その様子を見ていた私の息子は、さっきまでの嬉しそうな表情が消え、静かに私の後ろへ下がってきました。周りのママ友たちも顔を見合わせ、小さな声で「まだ1年生だよね……」と戸惑った様子でした。誰もがその熱意を前に言葉をかけられないまま、グラウンドにはボールを蹴る音と父親の指示だけが目立ち、場全体がどこか居心地の悪い空気に包まれていました。