予期せぬ味方
Aさんの前には見事な手作りキッシュが並んでいます。
まるで自分がだらしない母親になったようで身が縮む思いでしたが、そんな重い空気を切り裂いたのは、なんとAさんの息子さんの無邪気な声でした。
「ママ、これおいしい!」
なんと、市販品は味が濃くて食べないはずの息子さんが、私の持ってきた唐揚げを夢中で頬張っているのです。
固まる親たちに反して無邪気にはしゃぐ子どもたち。
その光景に、なんとも言えない気まずい沈黙が流れました。
本当に大切なことは?
凍りついた空気を救ってくれたのは、別のママ友Bさんでした。
「結局、子どもが『美味しいね』って笑ってるのが一番だよね。私たちもたまには楽して一緒に笑おうよ。この唐揚げ、冷めても美味しいね。どこの?」と、優しく言ってくれたのです。
その言葉に、張り詰めていた私の心は一気に軽くなりました。
Aさんも自分の息子の笑顔を見て思うところがあったのか、少しバツが悪そうに「たしかに最近、余裕がなかったかも」と微笑みました。
完璧さより笑顔
「手作りか市販か」、そんなことよりも、食卓を囲むみんなが笑顔でいることこそが、何よりの正解なのだと実感した出来事でした。
子どもを想う気持ちに、きっと優劣なんてないのだと思います。
たまには手抜きしたっていいのではないでしょうか。
完璧を目指して疲弊するより、少しだけ肩の力を抜いて、子どもと一緒に「美味しいね」と笑い合える時間を大切にしたいものですね。
【体験者:30代・女性自営業、回答時期:2026年3月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。