続けて母は、自身の過去を語り始めます。「あなたに弟が生まれた時、『ちょっと静かにできる? 一人で遊んでて』って言ってしまったことがあったの。この前スーパーで同じようなやりとりを見かけて、その時のことを思い出したのよ」と静かに話しだしました。「あなたは覚えていなかったから救われたけれど、そんなことを言われた側の気持ちを考えたら寂しいわよね」と言った母の言葉に、S紀ははっとさせられました。
後悔から学んだ前向きな決意
母はさらに、「だからできる限りサポートするし、あなたにしてしまった後悔を孫たちで償わさせてほしいの。あなたには同じ後悔をしてほしくない」と続けました。その瞬間、S紀の胸にじんわりと温かいものが広がりました。大変さは変わらないものの「今しかないこの時間を大切にしたい」と思えるようになったのです。
家事育児を毎日完璧にこなすことは難しくても、子どもに向ける気持ちは自分で選べます。母の後悔と愛情が込められた言葉は、S紀にとって大きな支えとなりました。
忙しさの中にこそ、大切な瞬間が詰まっているのだと気付かせてくれるエピソードでした。
【体験者:30代・女性主婦、回答時期:2026年2月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:Miwa.S
事務員としてのキャリアを積みながら、ライター活動をスタート。持ち前の聞き上手を活かし、職場の同僚や友人などから、嫁姑・ママ友トラブルなどのリアルなエピソードを多数収集し、その声を中心にコラムを執筆。 新たなスキルを身につけ、読者に共感と気づきを届けたいという思いで、日々精力的に情報を発信している。栄養士の資格を活かして、食に関する記事を執筆することも。