わが子を病院に残し、1人で退院した孤独な産後。無邪気な親戚の「赤ちゃんは?」という問いかけが、傷ついた心をえぐります。そんな絶望の淵にいた私を救ったのは、母が玄関先で放った毅然とした一言で……? 筆者の友人が体験談を語ってくれました。

産後の過酷な現実

結婚して授かった息子は、重い病を抱えて生まれてきました。

息子は生まれて3か月間は入院し、体重が増え、手術をしてからやっと一時退院となりました。

その時、母に助けられた話です。

赤ちゃんのいない退院、絞り続ける母乳

出産後、私の体調は順調に回復し、予定通り1週間で退院。でも、私の傍らに、本来いるはずの赤ちゃんの姿はありませんでした。

産後すぐの体に鞭打ち、毎日毎日、病院の息子に届けるための母乳を絞る日々。

「おめでとう」という言葉が飛び交う一般的な出産とはあまりにかけ離れた現実に、産後は言い表せないほどのつらい思いをしました。

私を追い詰める「お祝い」

退院してすぐのこと。

里帰り出産をしていた私のもとに、退院の知らせを聞いた親戚が続々と訪ねてきました。お祝いを届けに、実家を訪ねてくれたのです。

本来なら私が顔を出して対応すべきですが、まったくそんな気持ちになれません。玄関のチャイムが鳴っても私は2階にこもり、顔を出しませんでした。

玄関からは、母と親戚の「A(私)ちゃんは?」「赤ちゃんは? 抱っこさせて!」のやり取りが聞こえてきます。

私は、出産したら当たり前に赤ちゃんと一緒に退院すると思っている親戚たちを、憎らしくさえ感じてしまいました。

親戚たちは、ただお祝いを届けて、赤ちゃんの顔を見たいだけ。本来なら喜ばしいはずのその言動が、当時の私には鋭い刃物のように感じたのです。