筆者の話です。
ご近所の方から「いらんからあげる」と服を渡されたことがありました。
その何気ない一言が、思わぬ負担につながって──。
ご近所の方から「いらんからあげる」と服を渡されたことがありました。
その何気ない一言が、思わぬ負担につながって──。
渡された服
「いらんからあげる」
ある日、ご近所に住むおばあさんがそう言って洋服を持ってきました。
夕方になると、よく家に来ては世間話をしていく方で、母とも顔なじみの関係でした。
顔を合わせれば、そのまま玄関先で会話が始まるような距離感です。
その日もいつものように話していると、手にしていた袋から服を取り出し、母に差し出しました。
突然のことで戸惑いながらも、母はその場の空気を崩さないよう受け取るしかない状況。
強い口調
「これ、お嫁さんにもらったんだけど、いらんのよ」
そう言いながら、服を広げて見せるおばあさん。
「趣味じゃないんよね」
と言葉を重ねる口調は思っていたよりも強く、母はどう返せばいいのか迷っている様子でした。
否定するわけにもいかず、かといって共感するのもためらわれる空気が流れます。
結局「そうなんですね」と曖昧にうなずきながら「ありがとう」とお礼を言い。その服を受け取ることになりました。
その後、テーブルの上に置かれた洋服を見つめながら、母がしばらく動かずにいた姿が印象に残っています。