ある市に嫁いだ私が目にしたのは、一般家庭の庭にそびえ立つ謎の「巨大な鉄柱」。学校の掲揚台かとも思えるその正体は、端午の節句を祝う鯉のぼり用ポールで……。空を悠々と舞う鯉のぼりの裏側とは? 筆者の友人が、体験談を語ってくれました。
「雨が降るぞ!」の声で庭へ猛ダッシュ
鯉のぼりは鉄の棒に飾って終わり、というわけでもありません。
出してから何より大変なのが、風や雨など天候への警戒です。
鯉のぼりが濡れて重くなると鉄の棒に負担がかかるため、悪天候の兆しがあれば家族総出で取り込み作業をしなければいけません。
鯉のぼりは綿や高価な素材でできていることもあり、濡れると非常に重くなります。
そのままにすると生地が傷んだり、色が褪せたりすることもあって、丁寧な管理が必須です。
畑に出ていても家事の最中でも、「雨が降るぞ!」の声一つで庭へ走り、巨大な布と格闘する日々でした。
鉄柱に宿る、家族の誇り
田舎ならではの雄大な景色は、こうした「鯉を汚さない、濡らさない」という家族の執念と、日々の重労働の上に成り立っていたのです。
わが家には、年中庭に無骨な鉄柱がそびえ立っています。
でも、これが活躍するのは5月のみ。
今では、市内の空を泳ぐ鯉たちを見るたび、「きれいだな」より、その裏にある家族の奮闘を思い「お疲れ様です」とつぶやかずにはいられません。
【体験者:40代・女性主婦、回答時期:2026年3月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:Yuki Unagi
フリーペーパーの編集として約10年活躍。出産を機に退職した後、子どもの手が離れたのをきっかけに、在宅webライターとして活動をスタート。自分自身の体験や友人知人へのインタビューを行い、大人の女性向けサイトを中心に、得意とする家族関係のコラムを執筆している。