家族の誰かが体調を崩しただけで、日常は突然大きく姿を変えてしまいます。責任感が強い人ほど、すべてを一人で抱え込んでしまいがちですが、自分まで倒れてしまっては本末転倒です。今回は、筆者の友人の体験談をお届けします。

看護師の一言

数日後、疲れすぎて病院のベンチで動けなくなっていた私に、一人のベテラン看護師さんが声をかけてくれました。

「あなたが『第二の患者』になっちゃダメよ。家族にとって大切なのは、綺麗で完璧な家じゃなく、あなたの笑顔なんだから」

看護師さんの温かい手が肩に触れた瞬間、張り詰めていた糸が切れたかのように、涙が溢れ出しました。

「完璧」をやめて見えたもの

それから私は、周囲に積極的に頼ることにしました。
洗濯や掃除は実家の母や義母にお願いして、無理のない範囲で手伝ってもらうことに。
食事も完璧を目指さず、デリバリーやコンビニ弁当もフル活用。

すると不思議なことが起こりました。
私が「完璧」をやめたことで、病室の夫もリラックスした表情を見せるようになったのです。

支える側がボロボロでは、家族の光は消えてしまう。
非常事態こそ、自分を一番に甘やかすことが、共倒れを防ぐ秘訣なのだと痛感しました。

笑い合える幸せ

幸い夫は完治しましたが、今でも私たちは「無理をしないこと」を大切にしています。

かつての私は「ちゃんとしなきゃ」と自分を追い込んでばかりでしたが、今は冷凍食品やお惣菜が並ぶ食卓で、家族と笑い合える時間の方がずっと愛おしく感じられます。

賢くサボりながら、心に余裕を持って生きること。
子どもたちの笑顔を眺めながら、「またコンビニ弁当で済ませちゃったね~」なんて夫と苦笑いを交わす、そんな幸せを噛み締める日々です。

【体験者:40代・女性会社員、回答時期:2026年3月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。