子どもの物を処分するタイミングに迷うことはありませんか? もう使っていなくても、本当に手放していいのか迷うこともありますよね。今回は、処分してしまった物をめぐって起きた、筆者のエピソードをご紹介します。

その場の流れを優先

私は「もう使ってなかったよね」「新しいおもちゃもあるでしょ」と言いながら、彼の腕からそれをそっとはなし、「預かるね」と持ち上げました。

後ろでは「ダメ!」という泣き声が続いています。玄関の外では相手の方が待っていて、「大丈夫ですか」と気遣っています。私は迷いながらも、そのままそれを手渡しました。

普段は感情的に相手を責めることのない子なのに「なんで渡しちゃうの!」と大粒の涙をこぼしながら訴える息子。その姿に、胸の奥がざわつきました。

やめようと思えばやめられたはずなのに、私はその場の流れを優先してしまったのです。

引き返せたはずの選択

譲る相手に謝って、今日はやめると伝えることもできたはずです。息子の涙を見ながら、その選択肢が頭に浮かんでいたのに、私は立ち止まりませんでした。

ドアを閉めたあとも泣き続ける姿を見て、私も思わず涙がこみ上げました。

私は何を優先したのか。

片付けたい気持ちと、その場の段取りばかりを守って、目の前の子どもの気持ちを後回しにしてしまったと、大きな後悔が押し寄せたのです。

私は何度も「ごめんね」と伝えました。
「もう一回、ちゃんと聞いてほしかった」と彼は真っ赤な目で私を見つめました。

その言葉を聞いて、私は改めて、自分が確認を省いたことの重さに気づいたのです。

後悔の後に考えたこと

あのときに戻れるなら、私はきっと手を止め「本当に手放していいの?」と、もう一度聞き直します。

たとえ以前「いらない」と言っていたとしても、「今の気持ち」は違うかもしれない。そう考える余白を持てていたら、あの涙は見なくてすんだのです。

それ以来、子どもの物を手放すときほど、立ち止まるようになりました。

決める前に、本人の今の気持ちを確かめる。その一手間が、後悔を減らすのだと、あの日の出来事から学びました。

【体験者:40代・筆者、回答時期:2026年3月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:大空琉菜
受付職を経て、出産を機に「子どもをそばで見守りながら働ける仕事」を模索しライターに転身。 暮らしや思考の整理に関するKindle書籍を4冊出版し、Amazon新着ランキング累計21部門で1位に輝く実績を持つ。 取材や自身の経験をもとに、読者に「自分にもできそう」と前向きになれる記事を執筆。 得意分野は、片づけ、ライフスタイル、子育て、メンタルケアなど。Xでも情報発信中。