筆者の話です。
大雨の日、いつもと違いタクシーで通勤することになりました。
何気なく任せた道順が、思いがけない気づきにつながります。

近くてすみません

大雨の日、いつもは原付で通勤している私は、タクシーを利用することにしました。
目的地は近く、料金も1000円に満たない距離です。
乗車時、つい口をついて出たのは「近くてすみません」という言葉でした。

運転手さんにそう伝えると「大丈夫ですよ」と気にした様子もなく出発してくれました。ワイパーが忙しなく動き、フロントガラス越しに見える景色はいつもよりぼんやりしています。
雨の日にタクシーを使うこと自体がほとんどない私にとって、その時間はどこか落ち着かないものでした。

任せた道順

走り出してすぐ「どの道からでも行けますが、任せてもらってもいいですか?」と聞かれました。
普段は決まった道しか使わないため、一瞬迷いがよぎります。

それでも「お願いします」と答えると、車は見慣れない道へと進んでいきました。
住宅街の細い道を抜け、いつもなら信号で止まる交差点もするりと通り過ぎていきます。
外の雨音とは対照的に、プロの淀みないハンドル操作に、いつの間にかどこか静かで心地よい流れを感じていました。

知らない道

気づけば、あっという間に会社へ到着していました。
「もう着いたんですか?」と思わず口に出てしまうほど、スムーズな移動でした。

その道は、これまで通ったことのないルート。
自分の知っている道こそが最短だと思い込んでいたため、最初は少し驚きました。しかし、プロが選んだ最適解は、私の固定観念の外側にあったのです。