大学時代、恩師の葬儀に参列したA子さん。
黒い<ラメ入り>のワンピース姿で現れた同級生のB美に違和感を覚えるも、注意することができませんでした。
「知らなかった」ではすまされない。
大人として身につけておきたいマナーについて、改めて考えさせられる出来事でした。

「それって、喪服……?」

B美をまじまじと見て、その違和感の正体に気づきます。
彼女の着ているワンピースの布地にはラメが入っていて、光を受けるたびにキラキラと輝いていたのです。

(あれ……お葬式にラメって、大丈夫なのかな?)
そう思いながらも、私は何も言えませんでした。
服装のことを指摘して、変な空気にしたくなかったですし、「私が知らないだけで、これくらいはいいのかな?」と思ってしまったからです。

けれど、やはりそのワンピースは非常識なものだったよう。
式が進む中、まわりの反応をみてそれを再認識しました。
他の参列者はB美に視線を向けながらひそひそと話し、先生のご家族や親戚の方たちも、怪訝そうな表情をしています。

B美が動くたび、ワンピースは場違いに、キラキラときらめいていました。

「知らなかった」常識

見かねたのか、同じく参列していた隣のクラスの担任だった先生が、そっとB美に声をかけました。
「黒でも、光る素材のお洋服は避けたほうがよかったかもしれないわね」

その一言で、B美の顔色が変わります。
「えっ……」

彼女は初めて、自分の服装が場にそぐわないことに気づいた様子でした。
顔を真っ赤にして、うつむくB美。
どうやら「黒い服なら問題ない」と思い込んでいたようです。
葬儀の場では、光沢のある素材や装飾のある服装は避けるべきだというマナーを、知らなかったのでしょう。

大人として自覚していきたい

式後、B美は「私の装いは本当に非常識だった」と深く反省していました。
すぐにきちんとした喪服を用意したとも聞きました。

B美は決して無神経な人ではありません。
むしろ、普段は周囲に気を配れる、優しい性格の持ち主です。
それでも、「知らなかった」というだけで、あの場では目立ち、周囲に不快感を与えてしまいました。

正直、「それくらい分かるだろう」と思ってしまう気持ちもあります。
けれど、大人になってからも「え、知らなかった」と驚くようなマナーがあるのも事実。
私だってあのとき、学生でお葬式に出たのも初めてだったこともあり、「黒ければいいのかな」と思って注意できなかったわけですから──。

自分が恥をかかないために。
そして何より、周囲の人に不快な思いをさせないために。
大人としてのマナーは、きちんと身につけておきたいものだと、強く感じた出来事でした。

【体験者:30代女性・会社員、回答時期:2026年3月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:大城サラ
イベント・集客・運営コンサル、ライター事業のフリーランスとして活動後、事業会社を設立。現在も会社経営者兼ライターとして活動中。事業を起こし、経営に取り組む経験から女性リーダーの悩みに寄り添ったり、恋愛や結婚に悩める多くの女性の相談に乗ってきたため、読者が前向きになれるような記事を届けることがモットー。