シングルマザーの母が苦労して用意してくれたランドセルや学習机を、大切にせず手放してしまったA美さん。
しかし、自分が親になった今、母の想いの大きさに気づきます。
もう戻らない時間と、取り戻せない大切なもの──。
後悔とともに、これから娘に伝えていきたい想いとは。
それだけではありません。
学習机も、だんだんと「子どもっぽい」と感じるようになり、私は勝手に手を加えてしまいました。
上の棚の部分を外し、さらには処分までしてしまったのです。
それを見た母は、珍しく強い口調で怒りました。
「なんでそんなことするの! 机だってランドセルだって、高かったのよ!」
けれど当時の私は、母の苦労や想いなどまったく理解していませんでした。
「これでいいの!」
そう言い張り、母の言葉をはねつけたのです。
結局、それからランドセルを使うことは一度もありませんでした。
学習机も、高校生になる頃には処分してしまい、自分のアルバイト代でスタイリッシュなデスクを新調しました。
「自分の稼いだお金を使って、おしゃれなモノを持つ」ことに、当時は満足していましたし、なんの罪悪感も抱いていませんでした。
親になった今、思うこと
そんな私も母になり、今度は自分が、娘の学用品を揃える立場になりました。
今振り返ると、あのときの自分がどれだけ浅はかだったのか、痛感します。
母がどれだけの苦労をして、あのランドセルや机を用意してくれたのか。
どんな気持ちで、私の喜ぶ顔を見ていたのか。
それを知ろうともしなかった自分が、恥ずかしくてたまりません。
時間は戻らない
春になるたびに、あのランドセルと机のことを思い出しては、胸が痛みます。
できることなら、あのときに戻って、母にありがとうとごめんねを伝えられたらいいのに。
そんな風に思っても、時間は二度と戻りませんよね。
あたたかい木目を感じられる学習机や、すべすべとした革でできた可愛いランドセル──母の想いがこもったそれらが、今では懐かしくて恋しくてたまりません。
大切な宝物を蔑ろにしてしまったことを、本当に後悔しています。
それでも今からできることがあるとすれば、「物を大切にする姿」を、娘に見せ、教えていくことなのかもしれません。
満開の桜を見上げながら、そんなことを考えるのでした。
【体験者:30代女性・パート主婦、回答時期:2026年3月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:大城サラ
イベント・集客・運営コンサル、ライター事業のフリーランスとして活動後、事業会社を設立。現在も会社経営者兼ライターとして活動中。事業を起こし、経営に取り組む経験から女性リーダーの悩みに寄り添ったり、恋愛や結婚に悩める多くの女性の相談に乗ってきたため、読者が前向きになれるような記事を届けることがモットー。