繰り返す退所勧告
私の長男には重度の知的障害があります。
現在、養護学校の高等部を卒業して障害福祉事業所に通所し、日常生活に必要なルール等を学んでいます。
しかし、ルールを教えてもらっても、なかなか身に付かず周りに迷惑を掛けてしまう事が多く、親である私も頭を抱えています。
その事業所から「長男君の通所中の失踪や問題行動は、こちらとしても安全の確保に限界があるため、辞めることも考えてください」と何度も言われていた私。
さらに同じ学年のママ友と久しぶりに食事をした席で、ひとつの事実に直面することになりました。
同じ事業所に通うほかの利用者の子も、まったく同じ言葉をかけられていたというのです。
その子も長男同様に突発的にどこかへ行ってしまう傾向があり、以前、一人で飛行機に乗って東京まで行ってしまったことがあるといいます。
しかし驚いた事に、彼の方が障害の程度が長男より軽いと見なされた際、周囲との認識の乖離に苦しんだという現実がありました。
障害が重ければ「現場の限界を理由に退所を促される」
軽ければ「本人の主体性と判断され、支援が届きにくい」
どちらに転んでも親の苦しさは変わりません……。
支援の網はいつもその隙間をすり抜けていくような、もどかしさを感じていました。
疑念が確信に
利用者たちの大半は、指示をきちんと守る大人しいタイプ。
そのため、退所を促されるようなことはない様だと知り、私の胸にひとつの疑問が芽生えました。
そしてあるママさんから聞いた話が、その不安をさらに大きくしたのです。
その方が事業所に電話をかけた際、受話器の向こうから職員の方が利用者に対し厳しい口調で指導している声が聞こえてきたというのです。
それも「聞くに堪えないような怒声だった」と言います。
するとほかのママさんから「うちの子も怒鳴られて泣いて帰ってきたことがある」との証言が。
「受け入れやすい子なら歓迎されるけれど、手のかかる子は敬遠されてしまうのではないか」
そんな、福祉の場にあってはならない「選別」の空気を感じ、胸が締め付けられました。
入所前に見たパンフレットには「必ず我々が支えます! 一人ひとりに寄り添った支援を行います」と書かれていました。
親の目が届かない場所で、子どもたちはどんな時間を過ごしているのだろうか?
迎えに行った夕方の玄関の向こう側で、何が起きているのか?
確かめる術がないからこそ、その不信感は際限なく膨らんでいきました。
動き出した先に
「これは何か行動しなければ」と思いました。
実は私たちは以前、先輩保護者も含め総勢15名で事業所に「支援員の暴言改善」や「安易な退所勧告の中止」を求める要求書を提出したことがありました。施設長も非を認め、接遇研修の実施などを約束。
その後しばらくは雰囲気も良くなり、子どもたちも笑顔で通えていた時期があったのです。