密談
ある日のこと。
私が珍しく社内で仕事をしていると、背後にあった会議室から話し声が聞こえてきました。
どうやら話しているのは二課の課長とIさん。
「今月厳しいんですぅ」という甘えた声のIさんに対し、課長の声で「じゃあ、Y商事に連絡入れておくから」という声が聞こえました。
会議室から出てきた2人は、私の方をみてぎょっとした顔をし、Iさんはすたすたと自席へ戻っていきましたが、二課の課長は私に手招きをして、会議室に入るように促したのです。
ルール違反
「いると思わなかったよ。今の聞こえた?」と聞かれた私は、素直に「はい」と答えました。
そこから課長の苦しい言い訳が続き、最終的には「こういうのはどこの課にもあることだから」と言ったのです。
そんなの、どこの課にもあることではないです。
実際にノルマが達成できずに辞めていく外交員は山ほどいるし、みんな自分の担当地域や保険商品を守って活動しています。
二課の課長が言っていたY商事は、私たち一課の担当地区内にある会社……ルール違反は明らかでした。
制裁
呆れかえった私は、自分の課の課長に報告。
翌月、二課の課長は異動になりました。
それからIさんが成績優秀者になることはなく、あっという間に退職。
私の課の課長は「ルール違反は許されない」と言っていました。
しかし本当に『どこの課にもあること』だとしたら恐ろしいなと感じた出来事でした。
【体験者:50代・筆者、回答時期:2026年3月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:RIE.K
国文科を卒業しOLをしていたが、父親の病気をきっかけにトラック運転手に転職。仕事柄、多くの「ちょっと訳あり」な人の人生談に触れる。その後、結婚・出産・離婚。シングルマザーとして子どもを養うために、さまざまな仕事の経験あり。多彩な人生経験から、あらゆる土地、職場で経験したビックリ&おもしろエピソードが多くあり、これまでの友人や知人、さらにその知り合いなどの声を集め、コラムにする専業ライターに至る。