担当者会議で伝えたこと
後日、今後のケア方針を決めるための「担当者会議」が開かれ、仕事を休んだ息子さんとお嫁さんも同席しました。お嫁さんが「家でもリハビリを頑張らせてます」と話された際、私は専門的な見地から、現在の状況が抱えるリスクを丁寧、かつ明確にお伝えすることにしました。
「お母様の禁止動作は理解されていますか? 『リハビリのため』というお気持ちは分かりますが、医学的に見て今の負担はリハビリではなく、病状を悪化させる『過負荷』にあたり、再骨折のリスクを高めているんです。特にお母様がされている昼食作りなどの立位作業は、今の時期の禁止動作です。今のままでは、奥様が良かれと思ってされていることが、お母様の寝たきりを早める結果になりかねません」
初めて詳細な負担の大きさと、母の涙を知った息子さんは「お前、母さんにそんなことさせてたのか!」と大激怒。良き妻の仮面を剥がされ、逃げ道を塞がれたお嫁さんは顔面蒼白になり下を向いて震えるしかありませんでした。
その後は息子さんの監視の目が厳しくなり、利用者様は無事に自宅で安心して療養できる環境を取り戻しました。専門的な知見を持って家族の誤解を解き、利用者の尊厳を守る。それこそが、私たちリハビリ職に求められる大切な役割だと痛感した出来事でした。
【体験者:40代・筆者、回答時期:2026年3月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターが経験したエピソードを踏まえ、主観的な視点で表現しております。
FTNコラムニスト:藤野ゆうこ
2度の離婚を経て、シングルマザーとして介護職の管理者を務める現役会社員。現場で触れてきた数多くの家族の人生模様や、自身の波乱万丈な実体験をベースに、読者が同じ苦労をしないための教訓を込めたコラムを執筆。現在は介護現場や周囲への取材を通じ、嫁姑・夫婦関係・ママ友など、複雑な人間関係のトラブル解決に繋がる情報を発信中。