それは、中学時代に自分をいじめていた同級生・B美でした。
まるで昔のことなどなかったかのように話しかけてくるB美。
戸惑うA子さんでしたが、そこへ娘が駆け寄ってきて――。
娘の無邪気な一言で、B美の表情が変わります。
過去の記憶と向き合うことになったA子さんが、最後にB美へ伝えた言葉とは――。
「そうなんだ! だったらおばちゃんも、優しい人なんだね♪」
娘は、嬉しそうに笑います。
「だってママは、とっても優しいもん。私もママみたいに、お友達に親切にできるよ! 学校では、みんな仲良く助け合うんだよね」
その瞬間、B美の顔が、明らかにひきつったのがわかりました。
「そ、そうね……」
――やっぱり、B美は覚えているんだ。
そう確信しながら、私は娘に言いました。
「そうよ。あなたもお友達には思いやりをもちましょうね」
B美は、複雑な表情を浮かべています。
謝罪なんて聞きたくない
「じゃあ、私たちはそろそろ」
そう言ってその場を離れようとすると、B美が呼び止めてきました。
「待って! その……あのときは――」
私は、そんな彼女の言葉を遮ります。
「あなたは母として、胸を張って子どもに正しいことを教えられる?」
B美は黙り込みました。
「もし、自分の子どもが同じことをしたら? あるいは、されたら? あなたはどうする?」
それだけ言って、私は彼女に背を向けました。
許すことはできなかったけれど
「許す」という選択をとるべきだったのかもしれません。
でも、私にはそれができませんでした。
もし自分の子どもが同じ目にあったら、どれだけ胸が痛むのか。
親になったからこそ、余計に許せなかったのかもしれません。
でも、今のB美にも、それを想像することはできたのでしょう。
だからこそ、謝ろうとしてきたのだと思います。
彼女の謝罪を聞き入れることはできませんでしたが、私ももう当時のことは忘れようと決めました。
これからの自分の人生、前を向いて、家族と自分のために生きていこう。
満開の桜を見上げながら、私は娘の手を握って歩き出したのでした。
【体験者:30代女性・兼業主婦、回答時期:2026年3月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:大城サラ
イベント・集客・運営コンサル、ライター事業のフリーランスとして活動後、事業会社を設立。現在も会社経営者兼ライターとして活動中。事業を起こし、経営に取り組む経験から女性リーダーの悩みに寄り添ったり、恋愛や結婚に悩める多くの女性の相談に乗ってきたため、読者が前向きになれるような記事を届けることがモットー。