新生活が始まる4月。新しい環境に向かう子どもたちを見ていると、ふと自分の子ども時代を思い出すことはありませんか。
筆者には、4月になると思い出す「母の口癖」があります。それは、特別な日でもないのにふと母が言う、ある“魔法の言葉”。
今回は、何気ない春の日に交わされたその言葉と、大人になって気づいた母の優しさについてご紹介します。
筆者には、4月になると思い出す「母の口癖」があります。それは、特別な日でもないのにふと母が言う、ある“魔法の言葉”。
今回は、何気ない春の日に交わされたその言葉と、大人になって気づいた母の優しさについてご紹介します。
「今日はちょっと贅沢しよっか」という魔法の言葉
4月になると、私はいつも思い出します。母がふと笑いながら言った言葉を。
「今日はちょっと贅沢しよっか」
その頃、母のお腹の中には弟がいて、私と兄の3人でよく過ごしていました。
我が家は、決して贅沢をする家庭ではありませんでした。普段から特別な外食をするわけでもなく、大きなご褒美があるわけでもありません。
それでも兄と私には、心が躍る言葉が一つだけありました。
「今日はちょっと贅沢しよっか」
その言葉を聞くと、私たちはすぐにお出かけの準備を始めます。
向かう先は、家から20分ほど歩いた商店街。そこにある小さなアイスクリーム屋さんでした。
歩いた先にあった、小さなご褒美
商店街の一角にある、何気ない小さなお店。
そこで食べるソフトクリームが、兄と私にとって何よりの楽しみでした。
決して高価なものではありません。けれど、歩いた先にあるその一つが、子どもの私たちには特別な“ご褒美”だったのです。
兄も私も、そのアイスが大好きで、よくこんな話をしていました。
「将来、自分の子どもにもここでアイスを食べさせてあげたいな」
子どもながらに、そんな未来を想像するほど大切なお店でした。
けれど、時代の流れには逆らえません。
不景気の影響もあり、そのアイスクリーム屋さんは閉店してしまいました。
まだ幼かった私たちには、その出来事がとても悲しく感じられたことを覚えています。