アレルギーの診断はない。でも「牛乳を飲むと痒くなる気がして」。以前、筆者の職場である保育園で起きた、医師の診断なしに個別対応を求め続ける“自然派ママ”と、市の規約の間に挟まれた保育士のリアルをお届けします。
「お弁当を持参したいんですが」
入園前の面談で、B子ちゃんのお母さんは開口一番こう切り出しました。
「うちは食にこだわっていて、砂糖や添加物を避けているんです。できれば毎日お弁当持参にしたくて」
給食は園の大切な保育のひとつであり、集団生活における食育の場でもあります。
お弁当持参が認められるのは、原則として医師の診断に基づくアレルギー対応の場合のみです。
保育士がその旨を丁寧に説明すると、お母さんは少し考えてからこう言いました。
「実は、牛乳を飲むと痒くなることがあって。病院には行っていないんですけど、たぶんそうだと思って……」
診断書は、ない
この時点では、まだ医師による診断書はありませんでした。
市の規約では、医師の診断なしに特定の食材を除去したり、個別対応を行ったりすることは、安全管理の観点から認められていません。
翌週、お母さんは再び園を訪れました。
「小麦も気になっていて」
「卵も、なんとなく心配で」
わが子を思うがゆえの不安が、次々と膨らんでいるようでした。