まさかの再会。すべてを悟った瞬間
しかし、それから数週間後のこと。近所の定食屋で、見覚えのある横顔を目にしました。
そこにいたのは、海外などどこへも行かず、何食わぬ顔で元の生活に戻っている彼でした。
ほぼ毎日行くと言っていた定食屋で、スマホを3台並べ、食事をしながらゲームに没頭しているその姿。
その光景を見た瞬間、私の中にあった彼への執着が、音を立てて崩れ去りました。
真相は彼にしかわかりませんが、私には、本当のことを告げる手間さえ惜しみ、「異動」という嘘で関係をリセットしたように見えてしまいました。
最後に私が送った「答え」
私は彼から届いた最後のお別れメッセージに、彼が私に何度も繰り返したのと同じ「リアクション」を一つだけポチッと押し、そのまま彼という存在を人生からデリートしました。
今思えば、私の方も「条件」の良さに執着するあまり、彼の発していた小さな拒絶のサインに目を瞑っていたのかもしれません。もしかしたら、私の真面目すぎる問いかけが、彼にとっては重荷になっていた可能性も否定できません。
スマートなエスコートや輝かしい肩書きよりも、不格好でも言葉を尽くし、真っ直ぐに目を見て向き合おうとする熱量。それこそが、私が本当に手に入れたかった「終の住処」への鍵だったのだと思います。
【体験者:40代・女性主婦、回答時期:2026年2月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:森奈津子
海外生活や離婚、社会人での大学再入学など、多彩な経歴を持つライター。現在は幼稚園教諭として保護者の悩みに寄り添うほか、日々の人付き合いの中から生まれるリアルな本音に耳を傾け、多様な価値観に触れてきた独自の視点でそれらを記事にしている。