3年間、ほとんど自分から話さない若手保育士の指導を担当していました。報告は「はい」「大丈夫です」だけ。何を考えているのか分からず、私の言葉は届いているのか、いつも不安でした。子どもの安全は妥協できない。でも嫌われたくもない。揺れ続けた3年間でした。そんな彼女が異動すると聞いたとき、正直ほっとした自分もいました。でも、その夜届いた1通のメールが、私の3年間の意味を、まるごと塗り替えることになりました。

普段の彼女からは想像もできないほどの長文のメッセージでした。「最初は納得できないこともありました。でも、全部子ども達のためだったと今ならわかります」と。また、彼女が黙っていたのは反発ではなく、不器用さゆえだったこともわかりました。読み終えた時、涙が溢れてきました。
今でも、指導に悩む時に読み返しては、本気で向き合うことの大切さを噛み締め、背中を押してもらっているのでした。

【体験者:30代・筆者、回答時期:2026年2月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

Illustrator:大葉みのり
FTNコラムニスト:K.Matsubara
15年間、保育士として200組以上の親子と向き合ってきた経験を持つ専業主婦ライター。日々の連絡帳やお便りを通して培った、情景が浮かぶ文章を得意としている。
子育てや保育の現場で見てきたリアルな声、そして自身や友人知人の経験をもとに、同じように悩んだり感じたりする人々に寄り添う記事を執筆中。ママ友との関係や日々の暮らしに関するテーマも得意。読者に共感と小さなヒントを届けられるよう、心を込めて言葉を紡いでいる。