皆さんは、「こうあるべき」と自分に強い思い込みを課してしまった経験はありませんか。誰かに言われたわけではないのに、なぜかそうしなければならないと感じてしまうと、知らず知らずのうちに人は追い込まれてしまうものですよね。今回は、筆者の友人S子が結婚を機に胸に抱えてしまった思い込みと、今だからこそ気づくことができた周りの悩める方々に伝えたいエピソードをご紹介します。

きっかけは結婚後に珍しい苗字になったこと

S子は現在60代の主婦です。若い頃、珍しい苗字の家に嫁ぎました。親戚も多く、代々続く家という雰囲気がありましたが、義父母から跡取りについて何か言われたことは一度もなく、とてもよくしてもらった記憶しかないほど良好な関係を築いていました。

しかし、その温かさに触れるたび、いつしかS子の胸の中には、「この希少な苗字を絶やしてはいけない。家を継ぐ男の子が必要なのではないか」という思いが強く芽生えていました。

誰かに責められたわけでもないのに、「息子を産まなくては」と自分自身に重圧をかけていたのです。当時はそれが当然のように感じられ、疑うことすらしませんでした。

授かったのは女の子

やがてS子は二人の娘を授かりました。元気に育つ姿を見ながらも、心のどこかで義父母には「男の子ではなくて申し訳ない」という気持ちが消えませんでした。今思えば、その感情は誰のものでもなく、自分が勝手に作り出した不安に過ぎませんでした。