親はいつまでも元気——。そう心のどこかで信じている私たちは、日々の何気ないやり取りを当たり前のように流してしまいがちです。しかし、記憶の輪郭も時の流れとともに少しずつぼやけていくもの。今回は、筆者の友人の体験談をお届けします。

遺品整理で見つけた母の愛

昨年、母が急逝しました。
悲しみと混乱の中で、葬儀やさまざまな手続きを終え、最近になってようやく母のいない日常に向き合えるようになってきたところです。

少しずつですが、遺品の整理も始めました。
その中で見つかったのは、何百枚もの私の写真。赤ちゃんの頃から結婚式まで、母の愛情が詰まったアルバムでした。

しかし、その写真をめくるうちに、私はある「恐怖」に襲われました。

写真をどれだけ眺めても、母の声が思い出せないのです。
どんなトーンで私の名前を呼び、どんなふうに笑い、どんなリズムで鼻歌を歌っていたのか……。
記憶の細部が薄れていることに気づき、私は足元が崩れるような感覚を覚えました。