夫と帰省した夜、父が初めて打ち明けました。30年以上前、アメリカ赴任の推薦を母に相談せずに断っていたと。「サラリーマンには"ここだ"というタイミングがある。その時こそ、家族に相談しなさい」——老いた父の言葉が、胸に深く刺さった話です。
父が突然、昔話を始めた夜
夫と実家に帰省した夜のこと。
夕食後にお酒が入ったせいか、父がぽつりぽつりと話し始めました。
「俺な、昔アメリカに行くチャンスがあったんだよ」
30年以上前、会社でアメリカ赴任を推薦されたといいます。
初めて聞く話でした。
母に一言も言わず、一人で断った
父は当時、母に一言も相談しませんでした。
「お母さんは生まれた時からずっと同じ土地で暮らしてきた人だ。海外なんて絶対に嫌がる」と、最初から決めつけていたと。
「相談するまでもないと思ってな。一人で断りを入れた」
その後、同じ候補だった同期がアメリカ赴任を経て、最終的には副社長に。
一方の父は昇進の道も、希望の仕事も、少しずつ遠のいていきました。
誰にも言えなかった、と父は言いました。
自分一人で決めたことだから、誰かに話す資格もないと思っていたと。