子どもが「痛い」と言ったとき、あなたはすぐに向き合えていますか? 筆者の知人Aさんは、幼い頃から「放っておけば治る」と母に言われ続け、ほとんど医者に連れて行ってもらえませんでした。そして大人になったとき、その影響が思わぬ形で表れてしまったといいます。
余裕のない母に、後回しにされた
私の両親は、私を出産後すぐに離婚。母は女手ひとつで私を育てました。生活は決して楽ではなく、母自身も心身ともに追い詰められていたのだと思います。
私は子どもの頃、ほとんど医者に連れて行ってもらえませんでした。今は都道府県や市区町村で子どもの医療費を助成する制度がありますが、私が子どもの頃はそんな制度がありませんでした。そのため、熱を出しても「放っておけば治る」と言われ、体調不良を訴えても真剣に取り合ってもらえなかったのです。
歯も同じでした。痛いと言えば「大げさ」と一蹴され、痛み止めを渡されるだけ。学校の歯科検診の紙を見せても、「お金がかかるんだから我慢しなさい」と不機嫌になる母に、私は何も言えなくなっていきました。
仕上げ磨きをしてもらった記憶は一度もありません。それが当たり前ではないと知ったのは、大人になってからでした。
大人になって知った、子ども時代の代償
20歳のとき、激しい歯痛に襲われました。ズキズキとした痛みに耐えられず、震える思いで歯医者へ向かいました。その結果、10本以上の虫歯が進行し、抜歯が必要な歯もあると告げられたのです。
「どうしてここまで放っておいたの?」
歯科医の言葉に、私は何も言えませんでした。歯医者に通う習慣がなかった私にとって、放置は“当たり前”だったからです。自身の不手際というより、受診するという選択肢自体が、私の世界には存在していなかったのです。