初めてデパートに足を踏み入れた日のこと、覚えていますか? 少し背筋を伸ばして、場違いじゃないかと不安になりながらも、どこか誇らしい気持ちになるあの感覚。私もそうでした。
義両親への挨拶を控え、「いいものを持ちなさい」と背中を押されて向かったコスメカウンター。
けれどそこで、思いがけない出来事が起きたのです。
それは“誰から買うかは、自分で決められるし人は変われる”と知るまでの話。
これは、筆者が実際に体験したエピソードです。

すると、あの日のスタッフAさんが笑顔で近づいてきました。

「何かお探しですか?」

明らかに私だと気づいていない様子。

そのため、私は静かにこう言いました。

「大丈夫です。あなたからは買いませんので。あの方を待ちます」

一瞬で固まる表情。前回タッチメイクをしてくれたBさんを指名し、化粧水、乳液、美容液、ファンデーション、アイラインまで一式購入。

途中、Aさんが割り込もうとしましたが、

「あなたに担当されるくらいなら、全部キャンセルします」

ときっぱり断りました。

誰から買うかは、自分で決められる

売上は、最初に誠実に向き合ってくれたBさんへ。そんな想いがありました。

その後、声をかけてきた責任者の方にも前回の出来事と、それでもBさんの対応が素晴らしかったから再訪したことを伝えました。
日付も、言われた言葉も、そのまま全てを。

Aさんは裏に呼ばれ、私がいる間はそのまま売り場に戻って来ませんでした。

正直、金銭的に懐は痛みました。しかし後悔はありません。

あの日、私は知りました。「誰から買うか」は自分で決められるということを。

そしてもうひとつ、Aさんは、今ではどのお客様にも丁寧に声をかけるようになりました。そして私とも目が合えば軽く会釈してくれ、少し会話をする仲です。

人も、自分も、変われるのだと。

誠実さは選ばれるし、態度を改めることもできる。

人の態度も、自分の選択も、未来を少しずつ変えていく。

あの日の経験は、そんな当たり前だけれど大切なことを教えてくれました。

【体験者:30代・筆者、回答時期:2026年2月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:Anne.R
看護師として9年間、多くの人生に寄り添う中で「一人ひとりの物語を丁寧に伝えたい」とライターの道へ。自身の家づくりやご近所トラブルの実体験に加え、現在は周囲へのインタビューを通じ、人間関係やキャリアなど女性の日常に寄り添った情報を発信している。