初めてデパートに足を踏み入れた日のこと、覚えていますか? 少し背筋を伸ばして、場違いじゃないかと不安になりながらも、どこか誇らしい気持ちになるあの感覚。私もそうでした。
義両親への挨拶を控え、「いいものを持ちなさい」と背中を押されて向かったコスメカウンター。
けれどそこで、思いがけない出来事が起きたのです。
それは“誰から買うかは、自分で決められるし人は変われる”と知るまでの話。
これは、筆者が実際に体験したエピソードです。

初めての化粧品売り場で期待を胸に込めて

義両親への挨拶を控え、友人から

「しっかりとした化粧をしたいなら、いい化粧品を持つのもおすすめだよ」

と勧められ、私は人生で初めてデパートの化粧品売り場へ足を運びました。

縁のない世界だと思っていた場所に足を踏み入れるだけで、緊張と期待で胸を膨らませながらどこか少し誇らしい気持ちで売り場へ向かいました。

値踏みされた瞬間

平日の午後だというのに、売り場は多くの人で賑わっていました。

順番を待つ列に並びながら、私は少しずつ緊張していきました。「大丈夫、大丈夫。怖くない」と心の中で唱えながら待つこと10分。

ようやく私の番になった、その時です。Aという店員さんと目が合った瞬間。

その人は私を頭から足先までゆっくり見て、鼻で笑いました。

「私は手が空いておりませんので、他の者をお待ちください」

けれど、その直後、隣のスタッフと楽しそうに雑談。明らかに“空いていました”。

ああ、値踏みされたんだ。と思い、どんどんその場にいるのが恥ずかしくなってきて、顔が熱くなるのがわかります。

何も言えないまま立ち尽くしていると、すぐに若いスタッフのBさんという方が駆け寄ってきてくれました。

お待たせして申し訳ありません、と言いながら席に案内をしてくださり、どういった時に使用したいのか、肌の状態など優しく丁寧に話を聞いてくれました。そして

「まずタッチメイクしてみましょうか。肌に合うか確認してから、購入は後日でも大丈夫ですよ」

押し売りもなく、丁寧で、とても誠実に対応してくださり心が温まるのがわかりました。

私は結局、この日、Bさんの言う通りに肌荒れがないかを1日確認するためにファンデーションは買わず、おすすめされたアイブロウだけ購入しました。

「あなたからは買いません」とはっきりと言えた日

帰宅後、嬉しい気持ちがある反面、悔しさがじわじわ込み上げてきました。

あの時何も言えなかった自分が、少しだけ情けなく感じていました。

しかし、このままでは終わらせたくない。きっと後悔する。だったら……。

そうだ、この悔しさを晴らすためには綺麗にして胸を張ってもう一度あの場に立とう。

思い立った数日後、友人にフルメイクをしてもらい、きれいめの服にブランドバッグ。
自分なりの“戦闘服”で売り場に立ちました。